1079241 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

ネイティブスピーカーも知らない!英語のヒ・ミ・ツ

ネイティブスピーカーも知らない!英語のヒ・ミ・ツ

thisとthatのヒミツ

主語のことを考える基本として、「人称」というのがある。なにしろ日本語に主語がないから、こういうことも実はおざなりになっていて、ちょっと意識すればあたりまえのことが分からなくなっていたりする。

まずもって「私(たち)」がなければ何も始まらないので、I と weが最初のもの、つまり「第1」人称である。
それから、会話をしている当の相手が「第2」人称、これは当然youであり、単複同形(前項で述べたように、「私(たち)」も含めた一般的な人々をも指すのがyouだが、それをweとは普通しないところに、「相手を尊重する」態度があるのかもしれないと思う)。

そしてそれ以外はすべて第3の存在である。「3人称」というやつである。中学などでしばしば「3人称単数現在は動詞にsをつける」などと呪文のように言わされたのではなかろうか(そのわりに正しく付けられる人は少ないが…)。
3人称はHeとかSheとかの代名詞だけではなく、もちろん固有名詞でMr.WhiteとかMaryとかいうのもそれである。I/we, you以外のすべてだ。
Mr.WhiteとかMaryとかが主語に当たる場合は、日本語であってもさすがに「ホワイトさんが」とか「マリーが」とか言及することが多いだろう。「彼が」「彼女が」という語彙はそれほどば使わないとは思うが「あの人が」とか「その人が」とかは言う。つまり、主語はそれなりに意識されるのだ。
複数となると途端に「一般化」してしまい、前項で述べたように「私・あなた(たち)」を含まない「人々」の意味でtheyを使う。それについては日本語では埋もれてしまうことの多い主語なので、とりたてて意識する必要がある。

それ以外に「伏兵」がある。 "it"  である。さらに、this/that も大問題だ。
これらすべて、中学1年生のレッスン1で出てくる基本中の基本のはずだ(←ちょっと誇張。実際はレッスン”1”では出てこない)。今はそうではないようだが、なにしろ「エイゴ」の第一歩と目されているのは、
ディスイズアペーン!
だものね。
ところが、このThis is a pen.にこそ、日本人が英語が苦手になる要素がたっぷりつまっているといっても過言ではない。this も is も実は一筋縄ではいかず、ここを中途半端に扱うから、後になってわけがわからなくなるのだ。

ディスイズアペーン、とくにisについての諸問題は、別項で改めて述べる。ここでは主語としてのthis/that/it について考えていきたい。

主語としてむちゃくちゃ使用頻度が高いのはitのほうだと思うが、順番としては、多少なりともわかりやすいはずのthisとthatの正体をまず明らかにすることにしよう。itはあまりに奥が深すぎる。

 指し示しているthis とthat 

thisとthat の大大大基本は「指し示している」ということである。
「あれ?そりゃ日本語だって『コレ』とか『あれ』とか『それ』とかなら『指し示している』語句なのだし、そんなこと当然でしょ?」
ま、それもそうだが。しかし、教えてきた実感で言えば、意外にも多くの人が実はthis that itの真実には気づいていないのだ。
まずもって
this=「これ」
that =「あれ」
it =「それ」
………ではないのだ!!!
thisはまだいいのだが、thatとitについては誤解している人が多い。

日本語の「それ」は、たとえば、相手の手元に何かあった場合にそれを指すのに使う。
「それ、何?」
ってな具合。じゃあこれって、What is it? となる? …これがならないのである。
ここはWhat is that? となる。
自分の手元から離れているものはすべてthat(複数ならthose)なのである。


だから、this(these)とthat(those)を考えるとき、日本語のこれとかあれとかそれとかの「単語」は、一旦切り離さないといけない。
それよりもむしろ、これまた「イメージ」でとらえる必要があるのだ。
教材の英語など(特に会話)音読する際、this/thatには必ず「指し示す」動作を伴わせる。そもそも具体的なモノを指して言うときにはそれが普通で自然なのだ。少なくともその対象に目は向いている。それもなく、ただテキストを見ながらThis is ~などと棒読みしても「意味ない」のである。

もちろんthis/thatは具体的なモノだけではなく、アイデアとか、言葉とか、抽象的なものも「指し示す」ことがある。典型的なのは、
That's true/great/nice. それは本当だ/それはすごい/それはステキ
のような相づちだが、このthatは「相手の言ったこと」の全体を「指して」いるのである。つまり、「自分の手元にはない」ものを指しているのだ。それに対し、自分が直前に言ったことや、自分の頭の中のアイデアを指すときならthisを用いる。いずれにしても、「指し示している」イメージは必ず持っているのだ。

それに対して、itには「具体的に指し示している」イメージは基本的にない。


習い初めの英語で this=これ that=あれ it=それ などと覚えさせられたとする。それから
What's this? - It's a pen.
「コレハなんですか?」 「ソレハ、ペンです」
なんぞというやりとりを習っても、それほど疑問に思う子どもはいなかったかもしれない。
しかし、
What's that? - It's a clock.
「アレハなんですか?」 - 「ソレハ時計です」
ここでは、1%ぐらいの、ちょっと頭の切れる子どもは、うっすらと「?」と思うかもしれない。日本語なら
「アレハなんですか?」「『アレハ=that』時計です」ではないのか?

さらに、相手の手元にあるモノを指しての(そもそもそういう状況を習ったような覚えがないが)
What's that? - It's a notebook.
「アレハなんですか?」 - 「ソレハ、ノートです」
こうなると、「????」である。

"it" は実は「それ」ではないのである!!!
ではなんなのか、…は次回以降のお楽しみに!

前へ
次へ



© Rakuten Group, Inc.